首都圏における火葬場の現状

本頁では基本的に御葬儀やお法事にまつわる仏教的なことをお伝えしております。今回は首都圏における火葬場について述べたいと思っています。

皆さんは全くご存じないと思うのですが、御葬儀の現場を火葬場の現状からみると実は今大変なことになっています。勿論それは地域によって大分異なるのですが、私が耳にしているところですと都内23区・横浜・所沢はかなり深刻な状況のようです。

都内と横浜・所沢では問題の内容が異なるのですが、先に都内について述べたいと思います。

これまた意外に思われるかもしれませんが、東京特に都心について火葬をを支えているのはほぼ民間企業です。民営火葬場がなければ東京では葬儀が出来ないのが実情なのです。
ところが…です。現在「民間」に由来した問題が発生しており、お寺さん界隈・葬儀業界は深刻に捉えています。

最大手の民間火葬場会社が数年前に買収により経営母体が変わったのですが、その結果利益優先主義が大分強まったのです。その結果ここ数年で火葬料金が大幅に値上げになっています。昨今の事情を鑑みると致し方ない面は勿論あるのでしょうが、とは言えたとえば私の故郷・群馬県桐生市では市民なら火葬料金は無料。東京に近いさいたま市でも七千円…一方渋谷区にある民間の代々幡斎場では多くの方が使う炉で現在九万円です。

またただでさえ都内の火葬場ということで駐車場不足だったわけですが、火葬場併設の葬儀場の営業をより優先するようになった影響で、お経のために訪れる和尚さんですら車が駐められるとは限らない、何の配慮もされない状況が発生しています。その結果お寺さんによっては「駐められない場合には帰ります」と宣言していたり、お寺までハイヤーで迎えに来るよう檀家さんにお願いしているところもあるそうです。勿論その分喪主家の負担は増えるわけでお寺としても心苦しいところですが、致し方ありません。

一部には都議会議員や都知事に期待する向きもあるようですが、如何せん民間企業には民間としての自由がありますから、難しいようです。

次に横浜・所沢についてです。こちらの問題は火葬場不足です。どちらも多くの人口を擁していますが、純粋に人口に対して火葬場が不足しているのです。しかも世間の方からすれば火葬場は実質迷惑施設扱いのため、新設は難しいのが現状なのです。

そのため横浜・所沢では御葬儀となっても火葬場の予約が取れるのが一週間先が当たり前の状況。ということはそれまでご遺体を専用施設などで安置することになりますから当然その費用も必要不可欠となり…

横浜については火葬場が取れても遠い場所であったり、或いは高いお金を払って都内の民営火葬場を利用したりと葬儀社も大分苦労しているようです。

東照庵として一番心配していることはこういう現実に流され、供養が処理になっていってしまうことです。だからこそまずは枕経というお勤めにお伺いするようにしていることも知って頂けたらと思います。